保健師コラム

第3回 健康食品の安全性

皆さんこんにちは。暦上では梅雨に入りました。湿度と気温が上がると、頭が重い、体がだるいなどの不調が生じやすいです。これから蒸し暑い時期を乗り越えるためにも生活リズムや栄養バランスなどを見直してみてださいね。さて、今月は「健康食品」についてお話したいと思います。

皆さんは「健康食品」を食べたり飲んだりしていますか? 私は体がだるい時についエナジードリンクを飲んでしまいます。最近は、貧血が気になってサジーという果物のジュースを買ってみたりしました。健康になりたいがゆえに、ついつい手に取ってしまいがちな「健康食品」ですが、今年になって「コレステロール値を下げる」とうたったサプリメントが大きな健康被害をもたらし、話題になりましたね。まだ全容は明らかになっていませんが、早く原因が究明されてほしいものです。そもそも「健康食品」とは法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売されていたり、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。

この図のように、「特定保健用食品」や「医薬品(医薬部外品含む)」以外は国の審査が必要ないということがわかります。テレビや雑誌、新聞、インターネットなどで毎日目にする健康食品も本当に自分に必要なのか、安全なのか、注意が必要ですね。

そもそも、バランス良く通常の食事を摂っていれば、栄養がそれほど不足することはありません。現代社会の忙しい生活の中では「バランスの良い食事」を摂ることは難しいかもしれませんが、「健康食品によって得られる恩恵(ベネフィット)」と「健康食品によって生じるかもしれない損害(リスク)」の両方について、よく考えてみましょう。

さらに、私がつい手に取ってしまうのが「天然・自然」と書いてあるものです。「自然食品」と言われるとすごく体に良い気がします。「天然・自然=安全・安心」のようなイメージを強調するものがありますが、天然だからといって必ずしも安全・安心とは限りません。アレルギーの原因になりやすかったり、有害物質・不純物などが除去されていない可能性もあるということを頭に入れておく必要があります。毎日口にするものなので、できるかぎり体にいいものを、と思っているのに健康被害が出てしまえば元も子もありません。その健康食品は本当に必要なのか、今一度冷静になって考える必要があると思いました。

健康食品は病気の治療には使えません

私が今までに保健指導でお会いしてきた人の中にも、血圧やコレステロールの値を改善するとうたわれているサプリメントを取っている方がいらっしゃいました。「薬を飲むのは嫌だからサプリメントを飲んでいる」とおっしゃるのです。もちろん、これらのサプリメントは血圧やコレステロールの値が「高め」の方には有効かもしれませんが、すでに治療が必要なレベルの値の人にとっては、適切な治療の機会を失う(健康食品を使用して病院へ行かない → 病状の悪化)ことが多いのです。

また、すでに医療機関に受診しているにもかかわらず、薬と併用してサプリメントを飲んでいる方もいらっしゃいました。すでに飲んでいる薬との相互作用(健康食品が、薬の効果を強めたり弱めたりする → 健康被害を受けることも)はとても注意しなければなりません。実際に話題になった紅麹のサプリメントも、亡くなった方5人のうち3人に既往歴があったとのことです。治療中の方が新たにサプリメントや健康食品を摂取する場合、主治医や薬剤師に相談することを強くおすすめします。そもそも、健康食品は病気の人に向けたものではないことを知っていてほしいです。

今回は健康食品の安全性について取り上げましたが、膨大な情報が飛び交う現代社会で「この情報は本当に確かなのか」と冷静に考える必要があります。信頼できる健康食品情報源(公的機関等)を参考につけておきますので、気になる方はご覧になってみてください。

厚生労働省 食品の安全性確保に関する情報
内閣府
食品安全委員会
食品の安全性確保に関する情報
消費者庁 食品の表示に関する情報
(特定保健用食品、栄養機能食品、 機能性表示食品、特別用途食品など)
東京都
(健康食品ナビ)
健康食品に関する情報

参考HP:厚生労働省 【いわゆる「健康食品」のホームページ】