保健師コラム

第9回 夏の痛風 注意報!

皆さん、こんにちは。保健師の吉川です。毎日うだるような暑さで嫌になりますね。
最近、私は銭湯サウナにハマっています。サウナで整った後のオロポ(オロナミンC+ポカリスエット)というものを初めて飲んでみましたが、なかなか美味しかったです。私の夫はハイボールを水のようにガブ飲みしていました。(注意しましたがやめてくれません)

今回は、夏に増加すると言われている痛風についてのお話です

痛風とは、書いて字のごとく「風が吹いただけでも痛む」発作のことを言います。よく足の親指の付け根が痛くて靴も履けない、といった話を聞いたりしますよね。この痛風とは、体内の「尿酸」という物質が増加することが原因で起こる病気です。

「尿酸」という名前ですが「尿検査」ではなく「血液検査」でわかります。血液中の尿酸が多くなると、血液中に溶けきれなくなって結晶化してしまうのですが、イガイガした結晶が骨の関節にくっついて炎症を起こし、激痛が走るのです。この尿酸値は7mg/dlを超えると「高尿酸血症」と診断されます。
7~7.9mg/dlの人は、生活習慣を見直すことで改善が見込めますが、8mg/dlを超えると腎障害や高血圧、糖尿病などの合併症を伴う場合は薬物治療の対象となり、9mg/dlを超えると合併症の有無にかかわらず薬物治療の対象となります。

渡辺パイプの男性社員さんの健診結果を見てみると、

尿酸値が7mg/dlを超えている人が年々増加していますね。私も面談で「痛風になっちゃって」と話される社員さんが多い印象を受けていたので、このグラフを見て妙に納得しました。


「痛風」と聞くと、冬の鍋(あん肝、牡蠣、白子など)やアルコールが連想されがちですが、実は 夏に痛風発作を起こす人が多い のです。

私の夫も、「アルコールがないと生きていけない」と豪語しているので、もちろん高尿酸血症で今も薬を飲んでいます。それでも「ハイボールはプリン体0だから飲んでいい」と言いながらウィスキーを飲み続けているため、薬を飲んでいても一向に数値が改善されません。サウナで汗を流し、ただでさえ脱水状態であるにもかかわらず、アルコールを飲んでさらに尿酸値を爆上げしている状態です。いつ痛風発作が起きてもおかしくありません。(少し痛い目にあって、反省してほしい気持ちが少しもないと言ったら噓になります)

「尿酸値が高いと必ず痛風発作が起きる」というわけではないので、無症状の人は気にならないようです。しかし、痛風よりももっと怖いのは「血管障害が進む」ことです。尿酸のイガイガした結晶が血管の壁を傷つけてしまうと言えばイメージしやすいですね。体の中のゴミを外に出すために尿を作ってくれる「腎臓」という臓器も、細かい血管が凝集してできています。尿酸のイガイガはこの腎臓にもダメージを与えてしまいます。腎臓が傷んでうまく働けなくなると、尿から尿酸を排出しづらくなる。そしてまた血液中の尿酸値が上がるといった悪循環。やはり痛風だけでなく、全身の血管を守るためにも尿酸値が高くなりすぎないようにしたいですね。

特に夏場は汗をよくかくため、水分摂取が重要となります。水やお茶のように甘くない飲み物が推奨されますが、緑茶やコーヒーといったカフェインが多く含まれている飲み物はカフェインに利尿作用があるため、飲みすぎに注意してくださいね。

ちなみに、激しい運動も尿酸値を上げてしまいます。筋トレや水泳が趣味の方で、太っていないのに尿酸値が高い人をたくさん見てきました。尿酸とはいわゆる細胞の「老廃物」なので、激しい運動で筋肉の細胞が壊れると、尿酸が増えてしまうのです。「運動しているのに痛風が起きた!」ということも十分ありえるので注意してくださいね。

今年の夏も長くなりそうです。熱中症と痛風にも気を付けてこの夏を乗り切りましょう!